一次電池、二次電池の種類と特徴比較

電池

電池は大きく分類すると一次電池と二次電池に分かれます。
一次電池は充電ができない使い切りの電池を指し、二次電池は充電が可能で繰り返し使える電池のことです。

一次電池の種類と特徴比較

種類 正極 負極 電解液 公称電圧 特徴・用途
マンガン乾電池 二酸化マンガン 亜鉛 塩化亜鉛 1.5V 乾電池の最も一般的な種類。
消費電流が小さい機器向け。
アルカリマンガン乾電池 二酸化マンガン 亜鉛 水酸化カリウム 1.5V マンガン乾電池より大きいエネルギー密度を持つ。
比較的大きな電流が流れる電子機器に使用される。
ニッケル系一次電池
(ニッケルマンガン電池
/オキシ水酸化ニッケル電池)
二酸化マンガン
オキシ水酸化ニッケル
亜鉛 水酸化カリウム 1.5V アルカリ乾電池よりもエネルギー容量が大きい。
長期間電圧が一定、低温性能が高い。
フッ化黒鉛リチウム電池 フッ化黒鉛 リチウム 非水系有機電解液 3.0V 高電圧が得られる。
エネルギー容量はマンガン乾電池の約10倍。
電圧降下が少なく、低温でも使える。
二酸化マンガンリチウム電池 二酸化マンガン 3.0V
塩化チオニルリチウム電池 塩化チオニル 3.6V
硫化鉄リチウム電池 硫化鉄 1.5V
酸化銅リチウム電池 酸化銅(II) 1.5V
酸化銀電池 酸化銀(I) ゲル化亜鉛 水酸化カリウム
または水酸化ナトリウム
1.55V ボタン型で小型の電子機器で使用される。
長期保存性などの優れている。
空気亜鉛電池 空気中の酸素 亜鉛 水酸化カリウム 1.4V 放電時の電圧変動が少ない。
比較的大容量。

二次電池の種類と特徴比較

種類 正極 負極 電解液 公称電圧 特徴・用途
ニッケル・カドミウム電池 オキシ水酸化ニッケル カドミウム 水酸化カリウム 1.2V 内部抵抗が小さいため大電流出力が可能。
自然放電が大きい。
メモリー効果が発生する。
ニッケル・水素電池 水酸化ニッケル 水素化合物 水酸化カリウム 1.2V ニッケル・カドミウム電池の約2.5倍のエネルギ容量。
メモリー効果は小さい。
ニッケル・亜鉛電池 水酸化ニッケル 亜鉛 水酸化カリウム 1.6V エネルギー密度が高い。
寿命が短い。
リチウムイオン電池 リチウム合金
(コバルト酸リチウム、
マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなど)
炭素材料
(黒鉛、チタン酸リチウムなど)
有機溶媒+リチウム塩 3.2V~3.8V エネルギー密度が高い。
高電圧が得られる。
メモリー効果がない。
自己放電が少ない。
大電流を出力できる。
安全面で注意が必要。
リチウムポリマー電池 リチウム合金 炭素材料 ゲル化電解質 3.3V~3.7V リチウムイオン電池の一種。
リチウムイオン電池に比べると安全性が高い。
鉛蓄電池 二酸化鉛 希硫酸 2.0V 自動車用バッテリや無停電電源装置として使われる。

メモリー効果とは

メモリー効果とは、電池を使い切らない状態での充電を繰り返すと容量が減ったように見える現象です。
充電を開始した時点の状態を電池が記憶してしまい、充電後再びその付近まで放電されると電圧が降下して使用時間が短くなってしまうため、容量が減ったように見えるのです。
主にニッケル・カドミウム電池(ニッカド電池)で見られる現象で、ニッケル・水素電池ではかなり改善、リチウムイオン電池では発生しません。

メモリー効果が発生した場合、電池を使い切る(終止電圧まで放電)してから再充電する「リフレッシュ」を行うことで回復させることができます。

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