AC/DCコンバータとは?仕組みや使い方、動作原理を解説

ACDCコンバータ

AC/DCコンバータとは、AC(交流)をDC(直流)に変換する機器のことです。
家庭用コンセントのAC:100Vを直流に変換して様々な機器を動かす「ACアダプター」を構成する回路として使われます。

本稿では、AC/DCコンバータの仕組みや動作原理を基礎から解説していきます。

AC/DCコンバータの仕組み

AC/DCコンバータは整流器とコンバータで構成されます。

AC/DCコンバータ

交流をダイオードを使った整流器(ダイオードブリッジ)で直流に変換されます。
AC:100Vは実効値で、ピークは141Vになるので、整流後の直流電圧も141Vになります。

直流に変換された電圧を、トランスを使ったコンバータ回路で所望の電圧に変換します。
スマホなどを接続するUSB電源なら、5Vに降圧されます。

それでは、それぞれのブロックについて詳しく解説していきます。

整流器

整流器とは、ダイオードに代表される電流を一方向にだけ流す素子で、AC/DCコンバータではダイオードを組み合わせて交流から直流を取り出します。
ダイオード1つで直流に変換する半波整流方式と、ダイオードを4つ使って変換する全波整流方式(ダイオードブリッジ)があります。

半波整流方式

半波整流とは、ダイオード1つを使って、交流電流の正側(または負側)だけを流すことにより整流を行う方式です。
サイン波の上半分だけが取り出されて半分の波になっているため、半波整流と呼ばれます。

半波整流回路 半波整流波形

実際の回路では出力にコンデンサを設置して平滑化し、一定の直流電圧とします。
出力電圧が保持されるため、VacがVdcの電圧より高くなった時だけダイオードが導通し、コンデンサを充電します。
ダイオードが導通されていない間は負荷による放電により電圧が低下するため、リップルが見られます。

半波整流回路 半波整流波形

全波整流方式

全波整流とは、ダイオードを4つ使い、正側も負側も同じ方向に整流する方式です。
ダイオードブリッジ回路とも呼ばれます。

全波整流回路 全波整流波形

ダイオード:D1とD2が交互に導通し、Vacの下半分を折り返したような波形が出力されます。
実際の回路ではコンデンサにより平滑され、下記のように一定の直流電圧となります。

全波整流回路 全波整流波形

整流されるタイミングが半波整流の2倍多くなるため、出力のリップルが小さくなることが全波整流のメリットです。

コンバータ回路

整流器で直流に変換された電圧は141Vと高いため、電圧を供給する機器に合わせて電圧を降圧する必要があります。
AC/DCコンバータでは、トランスを使い絶縁した状態で電力変換を行います。
AC入力側のGNDとDC出力側のGNDを電気的に分離することで、感電を防ぐことができます。

コンバータ回路にはトランス方式スイッチング方式があります。

トランス方式

トランス方式は、先にトランスで変圧した後に整流器で整流する方式です。

トランス方式

トランスによる変圧比は、巻線の比で決まります。

トランス計算

NpはL1の巻線数、NsはL2の巻線数です。
ただし、シミュレーションでは巻線比を設定できないため、インダクタンスで比を決めています。
変圧比とインダクタンスの関係は以下の式で表されます。

トランス計算

今回は、L1=2H、L2=20mHとしていますので、変圧比は1/10となります。
上記計算式では整流ダイオードのVFを無視していますので、実際にはVF分電圧が下がります。

シミュレーション結果は以下のようになります。

トランス方式シミュレーション

Vd1はVd2と逆位相になりますが、振幅は同じです。
最終出力のVdcは、Vd1、Vd2からさらにVF分ドロップした電圧になります。
したがって、Vdcの値は以下の式で計算できます。

トランス計算

このシミュレーションではVF=0.7Vですので、Vdcは、141V ÷ 10 – 2 × 0.7V = 12.7V となっています。

ただしこれはピーク電圧で、負荷電流が多いほど電圧降下が大きくなってリップルが大きくなります。
その結果、Vdcの平均電圧が下がってしまいます。

VdcはVacの電圧変動の影響を受けるため、このままでは安定した電圧が得られません。
そこで、Vdcはターゲット電圧よりも少し高めに設定しておき、後段にシリーズレギュレータなどのリニアレギュレータを配置して電圧を制御する必要があります。
そのため、トランス方式はリニア方式と呼ばれることもあります。

スイッチング方式

スイッチング方式とは、スイッチングレギュレータで変圧制御を行う方式です。
絶縁型DCDCコンバータとも呼ばれます。

スイッチングレギュレータの動作原理を基礎から解説

スイッチング方式は、様々な種類がありますが、本稿では以下の5つのコンバータについて解説していきます。

  • フライバックコンバータ
  • フォワードコンバータ
  • プッシュプルコンバータ
  • ハーフブリッジコンバータ
  • フルブリッジコンバータ

フライバックコンバータ

1つのトランジスタスイッチで電力変換を行う方式です。
スイッチがオンの時にトランスの一次側に電流が流れエネルギーを蓄えられます。
スイッチがオフすると、蓄えられたエネルギーが2次側へ伝送され、出力側へ電流が流れます。

フライバック

フライバックコンバータはトランジスタスイッチが1つで、チョークコイルが不要なため、シンプルに構成できます。

フラバックコンバータの動作原理と回路設計の手順

フォワードコンバータ

トランジスタスイッチがオンすると、トランスの一次側に電流が流れ、二次側へエネルギーが伝送されます。
スイッチがオフすると、出力側のチョークコイルが電流を流し続けようとするため、ダイオードを通して電流が流れます。

フォワードコンバータ

フライバックと異なりスイッチがオン時も出力側へ電流を供給するため、大きな電力を出力することができます。

プッシュプルコンバータ

2つのトランジスタスイッチを使って電力変換を行う方式です。
SW1/SW2を交互にオンさせることで出力側へエネルギーを伝送します。

プッシュプルコンバータ

2つのスイッチが同時オンして貫通電流が流れないように、スイッチの切り替わりには両方のスイッチがオフとなるデッドタイムを設ける必要があります。
デッドタイム中は出力のチョークコイルが回生電流を流し、2次側の2つのダイオードがフライホイールダイオードとして働きます。

ハーフブリッジコンバータ

動作はプッシュプルコンバータと同じですが、トランスの一次側にかかる電圧がVdc/2で、トランジスタのドレイン-ソース間電圧はVdcになるのが特徴です。

ハーフブリッジコンバータ

フルブリッジコンバータ

ハーフブリッジのコンデンサがトランジスタに置き換わった構成です。
SW1とSW4、SW2とSW3の組が交互にオン・オフします。

フルブリッジコンバータ

トランス、トランジスタにかかる電圧は共にVdcです。

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