フォトカプラとは?使い方、回路例をご紹介
フォトカプラとは、入力と出力を絶縁した状態で信号を伝達することができるデバイスです。
入力された電気信号はLEDなどの発光素子で光信号に変換され、出力側の受光素子(フォトトランジスタなど)に送信されます。
受光素子は、受信した光信号を再び電気信号に変換して出力します。
絶縁型のAC/DCコンバータや、産業機械、音響機器などでノイズ対策のために絶縁されているもの、感電防止のために絶縁されている製品などで使われています。
フォトカプラの仕組みと動作原理
よく使われるフォトカプラICの「PC817C」を使ってLTspiceでシミュレーションをしてみました。
MOSFET:M1がオンすると、フォトカプラのの入力側に電流Iinが流れ込みます。
Iinの電流値は、Iin = (5V – VF) / R1 で計算できます。
VFはフォトカプラの受光素子(LED)の順方向電圧です。
VF=1Vなので、Iinは0.8mAとなっています。
出力電流:Ioutは、Iout × CTR で計算できます。
CTRとは、入力電流に対する出力電流の増幅比で、CTR = Iout / Iin で表されます。
Current Transfer Ratioの略で、日本語では「電流伝達比」と呼びます。
今回の回路では、Ioutは1.9mAなのでCTRは、
CTR = Iout / Iin = 238%
となります。
フォトカプラの用途
フォトカプラの代表的な使い方を3つ挙げてみました。
リレー
メカリレーは、アークやバウンスによるノイズが発生しますが、フォトカプラに置き換えることでノイズの問題を解決できます。
こういった製品はフォトリレーと呼ばれることもあります。
レベルシフト
フォトカプラを使って、Hiレベルのレベルシフトを行うことができます。
AC/DCコンバータのフィードバック制御
絶縁型フライバックで、2次側でモニタした出力電圧を1次側の制御回路へフィードバックするために使われます。
高速化
フォトカプラには高速化された製品もあるのですが、よく使われるPC817Cなどでは、応答速度がそれほど速くありません。
高速化するためには2つの方法があります。
1.入力電流を増やす
下記の回路で、入力電流が1mAの場合と2mAの場合で動作を比較してみました。
オフ⇒オン時の応答速度は速くなりましたが、オン⇒オフ時の応答速度は改善されませんでした。
これは、フォトトランジスタが飽和状態から復帰するまでに時間がかかってしまうためです。
2.過飽和を防止する
下図のようにベース設置回路を追加し、フォトトランジスタのコレクタ電圧が下がりすぎないようにして過飽和を防ぎます。
これにより、オン⇒オフ時の復帰速度が改善し、高速化できます。
コレクタ電圧のスイング幅が狭まっていることも高速化の要因です。
フォトカプラの寿命
製品によって異なりますが、例えば東芝デバイス&ストレージ社のTLP104の信頼性データを見てみると、Ta=125℃での連続動作試験で、1000Hで不良がゼロとなっています。
また、FIT値はTj=55℃で0.84以下となっています。
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