レギュレータやFETスイッチの逆電圧保護の方法と注意点

逆電圧保護

レギュレータやFETスイッチなどに逆電圧が掛かると、逆流電流によってボディダイオードが破壊されてしまう場合があるため対策が必要です。
また、出力側から入力側への回り込みによるシステムの不具合が起こる可能性もあるため、逆流防止の必要もあります。

逆電圧が発生するシチュエーションとしては、

  • 出力側の電荷残り
  • 入力側がGNDへ短絡
  • 出力側が高電圧ラインへ短絡

などが考えられます。

逆電圧保護の方法

逆電圧が発生した場合に素子を保護する方法はいくつかありますが、注意点やデメリットも存在しますので、用途に合った対策を取り入れましょう。

入出力間ダイオードによる保護

逆電流によってFETのボディダイオードが破壊されるのを防ぐため、入出力間(DS間)にボディダイオードよりVFの低いショットキーダイオードを入れて対策する方法です。

入出力間ダイオードによる逆電圧保護

ピーク電流の絶対最大定格が十分高いショットキーダイオードを選びましょう。

デメリットとしては、入力側に回り込みが発生してしまうことです。
これにより、本来下がっているはずの入力側電圧が低下せず、システムの停止電源シーケンスを守れなくなったり、さらに別の経路へ流れ込み不具合を発生させることがあります。

出力側ダイオードによる逆流防止

レギュレータの出力側へダイオードを挿入する方法です。

ダイオードによる逆流防止

フィードバック端子が外側へ出ているICでないとこの方法は使えません。
ダイオードのカソード側からフィードバックを取ることで、ダイオードのカソード側を所望の電圧にすることができます。

デメリットは、ダイオードのVF分より大きな入出力間電位差が必要になることです。

入力側ダイオードによる逆流防止

入力側にダイオードを入れることでも逆流防止は可能です。

ダイオードによる逆流防止

レギュレータの場合はIC入力直近に安定化コンデンサが必要になるため、ボディダイオードを通る逆電流は完全には防げません。
ICの入力直近にダイオードを挿入した場合は、発振などの誤動作が懸念されるためNGです。

ダイオードによる逆流防止

ダイオードのVF分より大きな入出力間電位差が必要になることもデメリットです。

バックトゥバックによる逆流防止

FETを2つ直列に、ボディダイオードが逆側を向くように接続することをバックトゥバック(Back to Back)接続と呼びます。

バックトゥバック

ボディダイオードがそれぞれ逆向きになるため、FETオフ時の逆流を防ぐことができます。

FETなので経路の電圧ドロップが小さくて済むのがメリットです。

ICの場合、外部で対策できないこと、ダイオードによる対策よりコストが高くなる場合が多いことがデメリットです。

LDOに内蔵されている逆電圧保護

最近では逆流防止機能を内蔵したLDOも増えてきています。

1つはFETを2つ搭載したバックトゥバック方式のLDO。
もう一つはFETのバックゲートを切り替えることで逆流を防ぐタイプです。

どちらもIC外部から見た性能は変わりませんが、後者はFETが1つで済むのでICの製造コストを下げることができます。

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