オペアンプを使った加算回路の使用例と動作原理
加算回路とは、足し算(加算)の演算ができる回路です。
オペアンプを使った加算回路では、複数のアナログ信号の足し算ができます。
本稿では加算回路の動作原理や特徴・用途について解説していきます。
加算回路の回路図
オペアンプの加算回路には反転加算回路と非反転加算回路の2つがあります。
反転加算回路はオペアンプの反転増幅回路の応用で、非反転加算回路は非反転増幅回路の応用です。
反転加算回路の回路図は以下のようになります。
非反転加算回路はこのような回路です。
動作原理
2つの加算回路について、それぞれ出力電圧の導出とシミュレーションによる動作確認を行っていきます。
反転加算回路
まずは出力電圧の計算式を導出します。
バーチャルショートにより、反転入力端子の電圧は0Vです。
よって、抵抗R1、R2に流れる電流I1、I2はそれぞれ
となります。
したがって、出力電圧VOUTは、
と計算されます。
ここで、R1=R2=Rfとすると、VOUTは、
となり、出力電圧は入力電圧の足し算だけで求めることができます。
下図の回路を使ってシミュレーションで動作を確認します。
VIN1を1V固定、VIN2を-5V~5Vまでスイープすると下図のようなになり、-(VIN1+VIN2)となっていることが確認できます。
非反転加算回路
次に、非反転加算回路の動作を考えます。
非反転入力端子の電圧:V+は、R1とR2の抵抗分圧で決まります。
VOUTは、反転入力端子電圧:V-と抵抗Rs、Rfの比で計算できます。
バーチャルショートよりV+ = V-となるので、VOUTは、
と計算されます。
ここで、R1=R2=Rs=Rfとすると、VOUTは、
となり、出力電圧は入力電圧の足し算だけで求めることができます。
下図の回路を使ってシミュレーションで動作を確認します。
VIN1を1V固定、VIN2を-5V~5Vまでスイープすると下図のようなになり、VIN1+VIN2となっていることが確認できます。
使用例、応用例
加算回路の用途・使用例としては、
- 複数のセンサ出力の合成
- オーディオミキサ
などがあります。
このように、入力を複数並列接続して合成することもできます。
この場合の出力電圧の計算式は、
となります。