インバーテッドダーリントン接続の特徴と発振対策

インバーテッドダーリントン接続

インバーテッドダーリントン接続とは、NPNトランジスタとPNPトランジスタ組み合わせて構成した高hFEの増幅回路です。
NPN-PNP接続はNPNトランジスタと等価、PNP-NPN接続のものはPNPトランジスタと等価となります。
PNP-NPN接続のものは疑似PNPと呼ばれることもあります。

インバーテッドダーリントン

ダーリントン接続の特徴と用途

インバーテッドダーリントンの動作原理

インバーテッドダーリントンの動作原理

NPNトランジスタに入力されたベース電流:IB1が増幅され、IC1=hFE1×IB1の電流がPNPトランジスタのベースから引き込まれます。
この電流がPNPトランジスタでさらに増幅され、

IC2 = IC1 × hFE2 = IB1 × hFE1 × hFE2

の電流がコレクタ側に出力されます。
出力電流はIC2とIE1の合計値ですが、IC2>>IE1なので、出力電流:IOUTは

IOUT ≒ IC2 = IB1 × hFE1 × hFE2

となり、hFE1 × hFE2倍の電流増幅率となることが分かります。

インバーテッドダーリントンのメリットとデメリット

通常のダーリントン接続は、入力電圧が2VBE以上ないと動作できませんでしたが、インバーテッドダーリントンの場合はVBEだけで動作が可能です。

インバーテッドダーリントンの動作電圧

欠点としては発振しやすいことが挙げられます。

インバーテッドダーリントン接続は、負帰還を形成しています。

下図のように入力電圧:VB1が低下すると、Q1のVBEが開くためコレクタ電流が増加し、VB2が上昇します。
VB2が上昇するとQ2のVBEが開くためQ2のコレクタ電流が増加し、Q2のコレクタ電圧=Q1のエミッタ電圧:VE1が下がります。
VE1が下がるとQ1のVBEが低下し、VB2は低下するという動きになります。

インバーテッドダーリントンの負帰還

低周波領域ではこのように負帰還となっているため発振しませんが、高周波領域ではNPNトランジスタのベース-コレクタ間寄生容量によって、正帰還(フィードフォワード)が形成されます。

インバーテッドダーリントンのフィードフォワードループ

このループはRHPゼロを形成します。

RHPゼロ(右半面ゼロ)とは

インバーテッドダーリントン単体で発振することはあまりありませんが、オペアンプやレギュレータ内の増幅段としてインバーテッドダーリントンが使われていると、このRHPゼロの影響で発振することがあります。

インバーテッドダーリントンの発振対策

寄生容量:Cpによってできる正帰還を、PNPトランジスタのベース-コレクタ間容量:C1を追加することで、全体として負帰還に戻し、発振を抑えることができます。

インバーテッドダーリントンの発振対策

C1とCpで2つのフィードフォワードができることで、打ち消すことができるのです。

この記事のキーワード

関連記事
ベース接地回路の特徴と用途

ベース接地回路とは、バイポーラトランジスタのベースを入出力共通端子とし、エミッタを入力、コレクタを出力として使う回路です。 電圧増幅率が高く、電流増幅作用がない(1倍)という特徴を持ちます。 ベース共通回路、ベースコモン回路とも呼ばれます。 INDEXベース接地回路の特徴ベース接…

LDOの基礎から応用まで全てを解説

本記事では、LDOを使った電源設計ができるようになるために必要な全ての知識を、基礎から応用まで分かりやすく解説していきます。 INDEXLDOとは?シリーズレギュレータとの違いスイッチングレギュレータとの違い仕組みと動作原理データシートの見方出力電圧範囲最大出力電流電圧精度出力電…

能動負荷(アクティブ・ロード)とは?回路と特性について解…

能動負荷とは、電流が一定である非線形抵抗回路で、能動素子(トランジスタ)を使って構成されます。 アクティブ・ロードとも呼ばれます。 抵抗のような受動素子(パッシブ・ロード)との大きな違いは、インピーダンスが非常に大きい(理想的には無限大)であることです。 代表的な回路例としては定…

オペアンプ回路の基礎と設計計算の方法

オペアンプ(OPamp)とは、微小な電圧信号を増幅して出力することができる回路、またはICのことです。 反転入力端子と非反転入力端子の2つの入力端子を持ち、その2つの入力電圧の差を増幅して出力することができます。 通常、帰還(フィードバック)をかけて使い、増幅回路、微分回路、積分…

接地回路の種類と特徴の比較

接地回路とは、トランジスタの3つの端子のうちのどれかを共通端子として使う増幅回路です。 共通端子として使う端子によって回路名が決まります。 バイポーラトランジスタの場合は、 エミッタ接地 コレクタ接地 ベース接地 の3種類があり、MOSFETの場合も同様に ソース接地 ドレイン接…