オペアンプを使った加算回路の使用例と動作原理
![オペアンプを使った加算回路](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder_eye.jpg)
加算回路とは、足し算(加算)の演算ができる回路です。
オペアンプを使った加算回路では、複数のアナログ信号の足し算ができます。
本稿では加算回路の動作原理や特徴・用途について解説していきます。
加算回路の回路図
オペアンプの加算回路には反転加算回路と非反転加算回路の2つがあります。
反転加算回路はオペアンプの反転増幅回路の応用で、非反転加算回路は非反転増幅回路の応用です。
反転加算回路の回路図は以下のようになります。
![反転加算回路](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder02.jpg)
非反転加算回路はこのような回路です。
![非反転加算回路](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder01.jpg)
動作原理
2つの加算回路について、それぞれ出力電圧の導出とシミュレーションによる動作確認を行っていきます。
反転加算回路
まずは出力電圧の計算式を導出します。
![加算回路動作原理](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder07.jpg)
バーチャルショートにより、反転入力端子の電圧は0Vです。
よって、抵抗R1、R2に流れる電流I1、I2はそれぞれ
となります。
したがって、出力電圧VOUTは、
![加算回路計算式](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder05.jpg)
と計算されます。
ここで、R1=R2=Rfとすると、VOUTは、
![加算回路計算式](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder06.jpg)
となり、出力電圧は入力電圧の足し算だけで求めることができます。
下図の回路を使ってシミュレーションで動作を確認します。
![反転加算回路シミュレーション回路図](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder08.jpg)
VIN1を1V固定、VIN2を-5V~5Vまでスイープすると下図のようなになり、-(VIN1+VIN2)となっていることが確認できます。
![反転加算回路シミュレーション波形](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder09.jpg)
非反転加算回路
次に、非反転加算回路の動作を考えます。
![非反転加算回路計算](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder14.jpg)
非反転入力端子の電圧:V+は、R1とR2の抵抗分圧で決まります。
![加算回路計算式](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder10.jpg)
VOUTは、反転入力端子電圧:V-と抵抗Rs、Rfの比で計算できます。
![加算回路計算式](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder11.jpg)
バーチャルショートよりV+ = V-となるので、VOUTは、
![加算回路計算式](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder12.jpg)
と計算されます。
ここで、R1=R2=Rs=Rfとすると、VOUTは、
![加算回路計算式](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder13.jpg)
となり、出力電圧は入力電圧の足し算だけで求めることができます。
下図の回路を使ってシミュレーションで動作を確認します。
![非反転加算回路シミュレーション回路図](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder15.jpg)
VIN1を1V固定、VIN2を-5V~5Vまでスイープすると下図のようなになり、VIN1+VIN2となっていることが確認できます。
![非反転回路シミュレーション波形](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder16.jpg)
使用例、応用例
加算回路の用途・使用例としては、
- 複数のセンサ出力の合成
- オーディオミキサ
などがあります。
![加算回路の用途](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder17.jpg)
このように、入力を複数並列接続して合成することもできます。
この場合の出力電圧の計算式は、
![加算回路計算式](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2022/02/adder18.jpg)
となります。