【逆トラ】トランジスタを逆接続することの問題点

逆トラ

逆トラとは、トランジスタを逆接続することです。
通常は逆接続は禁止されていますが、例外的に使用できる場合や、想定外の動作時に逆トラ動作になってしまうこともあります。

本稿では、トランジスタの逆接続時の動作と問題点について解説していきます。

逆接続時の動作

トランジスタの逆接続の例は以下のようなものです。

トランジスタの逆接続

実は、逆接続しても正常な接続と同様にオン・オフできてしまいます。

NPNの場合で考えてみましょう。
正常な接続では、下図のような電子、電流の動きになります。

NPNトランジスタのモデル図

これを逆接続しても、PN接合の関係性は変わらないので、エミッタからコレクタに電流が流れることになります。

逆トラのモデル図

ただし、基本的には推奨される使い方ではないので、次のような問題が起こります。

逆接続時の問題点

バイポーラトランジスタでは、hFEを高くするためにエミッタの不純物濃度を高くし、コレクタの不純物濃度を低くしています。
したがって、逆接続した場合には、

  • hFEが低くなる
  • 耐圧が下がり最悪破壊する

といったことが起こります。

想定外の逆トラ動作

トランジスタを逆接続して使うつもりはなくても、想定外の動作で電圧関係が逆転してしまうことがあります。
よくあるのが、コンデンサの電圧残りによって起こる逆トラです。

電源オフ時の逆流

電源をオフしても、出力側の負荷電流が少なければコンデンサに電圧が残ったままになります。
このとき、PNPトランジスタは逆接続状態となり、出力側から入力側へ電流が逆流することになります。

動作検証する際には、通常動作だけではなく、システムのオン⇔オフ切り替わり時や異常状態においても、電圧関係が逆転することがないか確認する必要があります。

動画で電子回路の基礎を学ぶ

Analogistaでは、電子回路の基礎から学習できるセミナー動画を作成しました。

電子の動きをアニメーションを使って解説したり、シミュレーションを使って回路動作を説明し、直感的に理解しやすい内容としています。

これから電子回路を学ぶ必要がある社会人の方、趣味で電子工作を始めたい方におすすめの講座になっています。

電子回路を動画で学ぶ

【内容】

  • 電気回路の基本法則
  • 回路シミュレータの使い方
  • コンデンサ・コイルとインピーダンス
  • フィルタ回路
  • 半導体部品の基礎
  • オペアンプの基礎

この記事のキーワード

関連記事
レベルシフト回路の必要性と動作原理

レベルシフト回路とは、クロックなどのデジタル信号のHiレベルを変換する回路です。 信号の出力側デバイスの電源電圧と受け側の電源電圧が異なる場合に、Hiレベルと電源電圧を合わせるために用いられます。 本稿では、レベルシフト回路の用途と回路例について解説していきます。 INDEXレベ…

バイポーラトランジスタの仕組みと原理

バイポーラトランジスタとは、半導体のPN接合を利用したトランジスタです。 コレクタ、エミッタ、ベースの3端子で構成され、ベース-エミッタ間に一定以上の電圧を印加することでオンさせる(コレクタ-エミッタ間を導通させる)ことができます。 また、ベースに流し込んだ電流を増幅する、電流増…

負性抵抗の原理と回路例

負性抵抗とは、マイナスの抵抗値を持った素子、または回路で、印加する電圧が大きくなると電流が減少するという特性を持っています。 負性抵抗となる素子としては、トンネルダイオードやサイリスタがありますが、本稿ではオペアンプやトランジスタを使った能動的な回路の動作や用途について解説してい…

カレントミラー回路の動作原理と設計計算の方法

カレントミラーとは、電流源で作った基準電流をコピー(複製)する回路です。 電流を鏡のように写すことからその名が付けられています。 本稿では、カレントミラーの原理と、ミラー電流の計算方法について解説します。 INDEXカレントミラーの原理出力電流を2倍にする方法1.並列接続する2.…

コレクタ接地(エミッタフォロワ)回路の特徴と使い方

コレクタ接地回路とは、バイポーラトランジスタのコレクタを入出力共通端子とし、ベースを入力、エミッタを出力として使う回路です。 電流増幅率が高く、電圧増幅作用がない(1倍)という特徴を持ちます。 出力(エミッタ)が入力電圧に追従することから、エミッタフォロワとも呼ばれます。 本稿で…