シャント抵抗を使った電流測定の方法
シャント抵抗とは、電流を測定したり検出したりするために使う抵抗です。
測定したい電流が流れている経路に直列に挿入し、シャント抵抗によって発生した電圧降下を測定することで、オームの法則より電流値に換算することができます。
本稿では、シャント抵抗を使った電流測定の方法、電流センスアンプを使った電流検出回路の設計方法などについて解説していきます。
テスターで大電流を測定する場合
テスターやデジタルマルチメーターでは、アンペアオーダーの電流を直接測定できない場合があります。
その場合、シャント抵抗を使って電流を測定することができます。
シャント抵抗が0.1Ωで、両端の電位差が0.2Vと測定できたなら、オームの法則より電流は、0.2V / 0.1Ω = 2Aと計算することができます。
電流センスアンプを使った電流測定の原理
電流検出回路は、シャント抵抗で発生する電位差を電流センスアンプで増幅して出力し、それをA/Dコンバータで読み取ることで電流モニタしています。
ローサイド、ハイサイド、それぞれで電流を検出する場合の電流センス回路の構成と設計方法について解説していきます。
ローサイド側で電流検出する方法
ローサイド側で電流検出する回路です。
電流センス回路はオペアンプの非反転増幅器を使って構成します。
負荷に流れ込む電流:Isはシャント抵抗Rsにも流れ込み、電位差:Vsを発生させます。
Vsは抵抗R1、R2で分圧され、非反転入力端子に入力されます。
分圧する必要がなければR2は不要です。
バーチャルショートの考え方より、
これより電流:I1は
よって、出力電圧は
で計算されます。
以上より、負荷に流れる電流:Isと出力電圧:VOUTの関係が分かるため、VOUTをマイコン等に入力すれば負荷に流れている電流を知ることができます。
これにより、流れている電流を表示することもできますし、検出された電流を基にマイコンが電流制御素子を制御することもできます。
ハイサイド側で電流検出する方法
次に、ハイサイド側で電流を検出する回路について解説していきます。
電流センスアンプはオペアンプとトランジスタを使って構成します。
シャント抵抗:Rsの電圧降下が発生すると、反転入力端子電圧:V-と非反転入力端子電圧:V+の関係がV->V+となります。
この状態ではオペアンプの出力が低下します。
トランジスタ:Q1のゲート電圧が引き下げられるため、Q1のオン抵抗が低下して電流I1が流れます。
そして、I1と抵抗:R1による電圧降下によりV-の電圧が低下します。
これにより、V-とV+の電圧が等しくなるように制御されます(バーチャルショートが成立する)
この動きに従って、負荷電流:Isと出力電圧の関係を計算していきます。
負荷に流れ込む電流:Isはシャント抵抗Rsにも流れ込み、電位差:Vsを発生させます。
V+の電圧は、
※電流制御素子の電圧降下は無視します
V-の電圧は、
バーチャルショートが成立するため、
よって、出力電圧は
と計算されます。
ローサイド検出と同様、出力電圧をA/Dコンバータ等で読むことで負荷電流の値を知ることができます。