TCUとは?車載テレマティクス制御ユニットの機能と構成

TCU

TCUとは、Telematics Control Unitの略で、モバイルネットワークを使って自動車の外部との双方向通信を行う装置です。
トヨタではDCM(Data Communication Module)という名称で専用機器が用意されています。
緊急通報システム(eCall)の機能を搭載している製品も多くなってきています。

eCallとは?車両緊急通報システムの仕組みと義務化の状況

コネクティッドカーの普及、eCallの義務化などによって重要性が増すTCUの役割、機能について解説していきます。

TCUの構成

TCUのユニット内部の構成はこの様になっています。

TCUの内部構成、系統図

eCallの機能が搭載されたTCUはエアバッグECUと通信を行い、エアバッグが展開されたことを検知すると緊急通報システムを起動させます。

事故が起こった際にバッテリが切断される可能性を考慮し、バックアップ用の電池が搭載されています。

TCUの機能

TCUの最も大きな特徴は通信モジュールを搭載していることで、スマホなどと連携しなくても4G、5Gなどのモバイルネットワークを使った通信を行えることです。

自動車メーカーが用意しているサーバーとの通信だけでなく、車の外からスマホとTCU間で通信することができます。

TCUとユーザー

TCUとユーザー(スマホ)と繋がることで次のようなサービスが提供されます。

  • 乗る前に操作(エンジン、エアコンなど)
  • ドア、窓の閉め忘れ通知
  • 車の位置を確認
  • 家族の運転状況を確認
  • 車内への侵入などのアラーム通知

TCUとディーラー

走行距離、バッテリの状態など車の状態をディーラーに送信されるため、最適なタイミングでのメンテナンスの案内などを受けることができるようになります。

TCUとオペレータ

事故が起こった時や煽り運転を受けているなどの緊急時にオペレータに繋いでサポートを受けることができます。

エアバッグが開くほどの事故が起こった場合は自動で緊急通報センターと通信を行い、車両の特定と事故の発生場所、車の状況を送信し、緊急車両の手配が行われます。

緊急通報システムは欧州ではeCall、ロシアではエラグロナスと呼ばれており搭載が義務化されています。

関連記事
インピーダンスとは?わかりやすく解説

インピーダンスとは、交流回路における電流の流れにくさを数値化したもので、電圧と電流の比を表します。 単位はΩで、直流回路の抵抗の考え方を複素数にまで広げたものです。 複素数の概念が出てくることで分かりにくくなってしまいますが、ここではインピーダンスとは何なのか、抵抗との違いは何な…

シリーズレギュレータの内部回路と動作原理を解説

シリーズレギュレータ(LDO)の基本的な内部回路の紹介と動作原理について解説していきます。 ブロック図と内部回路 シリーズレギュレータの等価回路は下図のようなブロック図で表すことができます。 大まかな構成部品は、 基準電圧源 差動増幅器 位相補償回路 増幅段 パワートランジスタ …

カレントミラー回路の動作原理と設計計算の方法

カレントミラーとは、電流源で作った基準電流をコピー(複製)する回路です。 電流を鏡のように写すことからその名が付けられています。 本稿では、カレントミラーの原理と、ミラー電流の計算方法について解説します。 INDEXカレントミラーの原理出力電流を2倍にする方法1.並列接続する2.…

USB
USBの急速充電規格の種類と回路設計時の注意点

スマートフォンのバッテリー容量が大きくなるにつれて、通常のUSB規格内の電力では充電が遅くなってしまいます。 そこで、急速充電用の規格が生まれましたが、スマートフォンのメーカー独自の急速充電規格も乱立してしまっている状況です。 また、急速充電に対応するには、電流を供給するアナログ…

アーリー効果とは?メカニズムとアーリー電圧の求め方

アーリー効果とは、コレクタ電圧が高くなることでベース幅が薄くなりhFEが増大する現象です。 これにより、コレクタ-エミッタ間電圧が大きくなるとコレクタ電流が増加するという特性が見られます。 アーリー効果は、この効果を発見したアーリー(J.Early)にちなんで名付けられています。…