TTLレベルとは【代表的なICと回路図】

TTL

TTLとは、Transistor Transistor Logicの略で、バイポーラトランジスタで構成されたロジックICのことです。
代表的なのはTI社の7400シリーズの汎用ロジックICです。
TTLレベルとは、TTLの入出力条件のことを指します。

TTLレベルの規格

製品によって若干異なりますが、代表的な値は以下のようになります。

Hiレベル入力電圧 2.0V以上
Loレベル入力電圧 0.8V以下
Hiレベル出力電圧 2.4V以上
Loレベル出力電圧 0.4V以下

TTL ICの回路構成

TI社の7400シリーズのNANDゲートの回路図です。

TTL回路

入力はマルチエミッタのNPNトランジスタで、入力がLoの時は順方向にオンし、入力がHiの時は逆トラで動作します。

CMOSロジックICよりも高速で、大きい電流を出力できるのが特徴ですが消費電流が大きくなるのがデメリットです。

TTLの動作

TTLの動作をシミュレーションで確認してみます。
簡単のため、マルチエミッタを省略し、下図のような回路で確認します。

TTL動作回路

はじめに過渡解析の結果です。
入力のHi / Lo信号に対し、出力が反転しているのが分かります。

TTL動作波形

次に、入力電圧をスイープしてDC特性を確認します。
横軸が入力電圧、縦軸が出力電圧です。

TTL動作波形

入力が2VBE以下の場合は、Q1がオンしてQ2とQ4がオフするため出力がHiとなります。
Loレベル入力電圧の値はこの2VBEの最小値で決まっています。

入力が2VBE以上になると、Q1が逆トラ動作しQ2、Q4がオンして出力がLoとなります。
Hiレベル入力電圧の値はこの2VBEの最大値で決まっています。

この記事のキーワード

関連記事
ベース接地回路の特徴と用途

ベース接地回路とは、バイポーラトランジスタのベースを入出力共通端子とし、エミッタを入力、コレクタを出力として使う回路です。 電圧増幅率が高く、電流増幅作用がない(1倍)という特徴を持ちます。 ベース共通回路、ベースコモン回路とも呼ばれます。 INDEXベース接地回路の特徴ベース接…

レベルシフト回路の必要性と動作原理

レベルシフト回路とは、クロックなどのデジタル信号のHiレベルを変換する回路です。 信号の出力側デバイスの電源電圧と受け側の電源電圧が異なる場合に、Hiレベルと電源電圧を合わせるために用いられます。 本稿では、レベルシフト回路の用途と回路例について解説していきます。 INDEXレベ…

ファンアウトの意味と計算方法

ファンアウトとは、1つのデジタルIC出力に接続できる入力回路の最大数です。 ファンアウトは出力回路の電流能力で決まり、ファンアウトの小さいICの場合、出力信号が減衰してしまって正常に伝達できなくなります。 本稿ではファンアウトの考え方、計算方法について解説していきます。 INDE…

トランジスタの動作点とは?求め方、決め方を解説

トランジスタの動作点とは、ある入力バイアス条件におけるコレクタ-エミッタ間電圧:VCEと、コレクタ電流:ICで決まる点です。 VCE-IC特性と負荷線が交わる点が動作点になります。 本稿では、負荷線を用いた動作点の求め方と、エミッタ接地増幅回路の動作点の決め方について解説していき…

入力トレラント、出力トレラントとは

CMOSロジックICのトレラント機能は、電源電圧以上の電圧を入力、または出力に入力することができる機能。 トレラント機能には入力トレラントと出力トレラントがあり、それぞれ入力に電源電圧以上の電圧を入力できること、出力に電源電圧以上の電圧を入力できることを意味します。 本稿では、ト…