コンデンサの種類と特徴
コンデンサの種類と特徴をまとめました。
種類 | 容量 | 極性 | 周波数特性 | ESR |
---|---|---|---|---|
セラミックコンデンサ | 0.1pF~100μF | なし | ○ | ○ |
タンタルコンデンサ | 0.1μF~1000μF | あり | △ | △ |
フィルムコンデンサ | 1nF~100μF | なし | ○ | ○ |
アルミ電解コンデンサ | 1μF~10mF | あり | ☓ | ☓ |
導電性高分子アルミ電解コンデンサ(SP-CAP) | 10μF~1000μF | あり | △ | △ |
導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ(POS-CAP) | 10μF~1000μF | あり | △ | △ |
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ(OS-CON) | 10μF~1000μF | あり | △ | △ |
導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ | 10μF~1000μF | あり | △ | △ |
電気二重層キャパシタ(EDLC) | 0.1F~100F | あり | ☓ | ☓ |
リチウムイオンキャパシタ(LIC) | 数百F | あり | ☓ | ☓ |
セラミックコンデンサの特徴
セラミックコンデンサとは、セラミック(磁器)を誘電体として使っているコンデンサです。
設計者の間では「磁器コン」や「セラコン」と略されます。
セラミックコンデンサの特徴
- 小型である
- 熱に強い
- 極性がない
- 周波数特性が良い
- 信頼性が高い
- DCバイアス特性が大きい
- 音鳴りが発生しやすい
- ショートモードで破壊する
などです。
主な用途は、高周波ノイズ対策、電源の平滑などです。
タンタルコンデンサの特徴
タンタルコンデンサとは、誘電体にレアメタルであるタンタルを使ったコンデンサです。
セラミックコンデンサより大容量のものがありますが、ESRはやや大きめです。
タンタルコンデンサの特徴
- 小型である
- 小型で大容量
- 極性がある
- 信頼性が高い
- DCバイアス特性がない
- ショートモードで破壊する
カップリング・デカップリングに加え、大容量のものは電源保持(バックアップ)の目的でも使われます。
フィルムコンデンサの特徴
フィルムコンデンサとは、誘電体にプラスチックフィルムを利用したコンデンサです。
耐圧が高いので、産機系、パワエレ系の製品で採用されることが多いコンデンサです。
フィルムコンデンサの特徴
- 定格電圧が高い
- 周波数特性が良い
- 極性がない
- 温度特性が良い
フィルムコンデンサは、電源ノイズ対策、放電回路、共振回路、力率改善回路などの用途で使われます。
アルミ電解コンデンサの特徴
アルミ電解コンデンサとは、陽極のアルミ箔の表面に電気分解によって酸化皮膜を形成させて誘電体とし、陰極に電解液を用いたコンデンサです。
安価で大容量、耐圧も高めなので、セットの入力端のフィルタとして、平滑・デカップリングの用途でよく使われます。
アルミ電解コンデンサの特徴
- 定格電圧が高い
- 大容量
- 低コスト
- 周波数特性が悪い
- 極性がある
- 液漏れの懸念がある
- 個体コンデンサに比べ寿命が短い
導電性高分子コンデンサの特徴
導電性高分子コンデンサとは、電気伝導性の高い高分子化合物(ポリマー)を電解質に使ったコンデンサです。
ポリマーコンデンサとも呼ばれます。
導電性高分子コンデンサの特徴
- 周波数特性が良い
- 低ESR
- 使用条件による容量の変化が小さい
- 信頼性が高い
- 極性がある
導電性高分子コンデンサには様々な種類があります。
導電性高分子アルミ電解コンデンサ
アルミ電解コンデンサの陰極(電解質)にポリマーを使ったコンデンサです。
チップタイプのSP-CAPと、円筒形のOS-CONがあります。
電解液を使っていないので周波数特性が改善し、信頼性も向上しますが、アルミ電解コンデンサよりは低容量となります。
導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ
陽極にタンタル、陰極にポリマーを使ったコンデンサです。
POS-CAPとも呼ばれます。
チップタイプで容量が大きいので、メモリなどの電圧保持にも使われます。
導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ
電解質に電解液とポリマーを組み合わせたコンデンサです。
電解コンデンサと高分子コンデンサの中間の特性を持っています。
アルミ電解コンデンサ+セラミックコンデンサで構成していた平滑回路をハイブリッドコンデンサで置き換えて小型化・低コスト化できる場合があります。
電気二重層キャパシタの特徴
電気二重層キャパシタとは、誘電体に「電気二重層」を使ったコンデンサです。
電気二重層とは、流体中の界面に電位が与えられたときに形成される二重の層です。
したがって、電気二重層キャパシタの内部は2つのコンデンサが直列接続されたのと等価になっています。
EDLC(Electric Double Layer Capacitor)、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタとも呼ばれます。
パナソニックはゴールドキャパシタという名称で取り扱っています。
電気二重層キャパシタの特徴
- 大容量
- 大電流による急速充放電が可能
- 完全放電が可能
- 耐圧が低い
- 温度定格が低い
- 内部抵抗が大きい
- 極性がある
大容量が得られるため、電圧保持、バックアップの用途で使われます。
リチウムイオンキャパシタの特徴
リチウムイオンキャパシタとは、電気二重層キャパシタの正極とリチウムイオン電池の負極(炭素系材料)を合わせ持ったキャパシタです。
リチウムイオン電池の仕組みと特性
LIC(Lithium Ion Capacitor)とも呼ばれます。
リチウムイオンキャパシタの特徴
- 大容量
- 大電流による急速充放電が可能
- 耐圧が低い
- 温度定格が低い
- 完全放電できない
- 内部抵抗が大きい
- 極性がある
EDLCよりエネルギー密度は大きいのですが、リチウムイオン電池と同様、完全放電ができないため電圧監視が必要になり、やや使い勝手が悪くなります。
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