ベース接地回路の特徴と用途
![ベース接地回路](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com_eye.jpg)
ベース接地回路とは、バイポーラトランジスタのベースを入出力共通端子とし、エミッタを入力、コレクタを出力として使う回路です。
電圧増幅率が高く、電流増幅作用がない(1倍)という特徴を持ちます。
ベース共通回路、ベースコモン回路とも呼ばれます。
ベース接地回路の特徴
ベース接地回路の入出力の特徴をまとめると以下のようになります。
入力インピーダンス | 低い |
---|---|
出力インピーダンス | 高い |
電圧増幅率 | 高い |
電流増幅率 | 1倍 |
出力の位相 | 同相 |
高周波特性 | 良い |
入力インピーダンスが低く、出力インピーダンスが高いので、電流バッファ回路として使われます。
ベース接地回路の動作
ベース接地回路の基本の型を示します。
![ベース接地回路](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com01.jpg)
動作波形は下図のようになります。
![ベース接地動作波形](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com02.jpg)
入力波形:±10mV / 1kHzのサイン波が、33.4倍の振幅に増幅して出力されています。
増幅率の計算
ベース電圧が固定されているので、エミッタ電圧の変動量がそのままVBEの変動量になります。
したがって、コレクタ電流の変動量は、
![コレクタ電流計算](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com03.jpg)
で計算できますので、電圧増幅率は次の式で求めることができます。
![ベース接地の増幅率計算](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com04.jpg)
今回の回路でGmは、VBE-IC特性より、15.2mA/Vとなります。
![VBE-IC特性](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com05.jpg)
よって増幅率は、15.2m × 2.2k = 33.4倍となり、シミュレーション結果と一致します。
ベース接地回路の用途
ベース接地が使われる代表的な回路は、カスコード接続です。
下図のように、エミッタ接地回路の上にベース接地回路が縦積みされた構成となります。
![カスコード接続](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com08.jpg)
エミッタ接地単独よりも応答性、周波数特性が改善します。
応答速度の改善効果
ベース接地を用いない、エミッタ接地だけの場合の応答性を確認します。
![エミッタ接地の応答性](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com07.jpg)
エミッタ接地の場合、ベース-コレクタ間に存在する寄生容量にミラー効果が作用するため、増幅度倍の容量が作用するため、応答性が悪化します。
ベース接地を追加したカスコード接続にすると、エミッタ接地のコレクタ側の電圧が低い電圧でクランプされるため、ミラー効果の影響を抑えることができます。
![ベース接地の応答性](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com06.jpg)
周波数特性
ベース接地の有無で周波数特性を確認してみました。
![ベース接地の周波数特性](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/07/base_com09.jpg)
カットオフ周波数が高周波側に伸びているのが分かります。
ベース接地回路ありの方のゲインが、4MHz付近から急峻に低下しているのは、ベース接地用トランジスタによって2ndポールができるためです。
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