ダーリントン接続の特徴と用途
ダーリントン接続とは、トランジスタのエミッタをもう一つのトランジスタのベースに接続して使う方法で、このような接続をした回路をダーリントントランジスタと呼びます。
ダーリントントランジスタとして、1つのパッケージ内に統合された製品もあります。
ダーリントン接続は、非常に高い電流増幅率を持つのが特徴となっています。
ダーリントン接続の回路と動作
ダーリントン接続には、NPNを2つ組み合わせたものとPNPを2つ組み合わせたものがあります。
NPN型
NPNを2つ組み合わせて、全体として1つのNPNトランジスタのように振る舞います。
簡単のため、リークカット抵抗を無視して動作を解説します。
入力電流を1段目のトランジスタが増幅します。
hFE倍に増幅されたエミッタ電流が、2段目のトランジスタのベースに入力され、さらにhFE倍して出力されます。
結果、入力電流に対して、hFE1×hFE2倍に電流が増幅されることとなります。
PNP型
PNPを2つ組み合わせて、全体として1つのPNPトランジスタのように振る舞います。
NPN型と同様、入力電流に対して、hFE1×hFE2倍に電流を増幅することができます。
プッシュプル増幅回路
NPN型とPNP型のダーリントントランジスタを組み合わせて、プッシュプル回路を構成することができます。
オーディオアンプなどで良く見られる構成です。
ダーリントン接続の用途
ダーリントントランジスタは、入力側の電流能力が低く、出力に大きな電流が必要な負荷が繋がっている場合に使われます。
例えば上図のように、制御ICの最大電流能力が100μAだったとします。
トランジスタ1段で負荷をドライブする場合、最大電流は10mAまでしか供給できません。
しかし、ダーリントン接続にすることで、制御ICを変えなくても1Aまで負荷電流を供給することができるようになるのです。
ダーリントン接続のデメリット
ダーリントン接続の欠点は2つあります。
出力電圧範囲が狭まる
下図のようなエミッタフォロワ回路の場合、Hiレベルの最大電圧はVCC – 2VBEとなります。
トランジスタ1段の場合に比べ、VBE分出力電圧範囲が狭まってしまうのです。
最低動作電圧の悪化
下図のようなエミッタ接地回路を考えると、ダーリントントランジスタが動作できるVCCの最低動作電圧は2VBEとなります。
トランジスタ1段の場合に比べ、VBE分最低動作電圧が悪化してしまうのです。