ファストリカバリダイオードの特徴と使い方
![](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/10/frd_eye.jpg)
ファストリカバリダイオードとは、オンからオフに切り替わるまでの時間(逆回復時間)が短くなる対策を施したダイオードです。
数百kHzまでのスイッチング回路に使うことができます。
逆回復時間とは
逆回復時間とは、ダイオードがオンの状態から完全にオフになるまでの時間です。
![逆回復時間](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/10/frd01.jpg)
順方向に電圧を印加している状態から瞬間的に逆バイアス状態にした場合、素子内に蓄積した少数キャリアが再結合し、空乏層が広がるまで逆方向に電流が流れることになります。
これを逆回復電流と呼びます。
![逆回復時間](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/10/frd02.jpg)
順方向電流が大きいほど反対側の層へ到達するキャリアが増えるため、逆回復時間、逆回復電流は大くなります。
ファストリカバリダイオードの構造
ファストリカバリダイオードは、逆回復時間を短くするためn型半導体内に不純物(キャリアトラップ)を設けています。
![ファストリカバリダイオードの構造](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/10/frd03.jpg)
キャリアトラップは、逆バイアス時にn型半導体からp型半導体へ移動するホールを捕まえます。
これにより逆回復時間を短くすることができますが、背反として順方向電圧が大きくなってしまいます。
不純物の濃度により逆回復時間を調整することができ、逆回復時間と順方向電圧はトレードオフの関係にあります。
ファストリカバリーダイオードの用途
ファストリカバリダイオードはPFCで使われます。
![PFC回路](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/10/frd04.jpg)
電流臨界モードで使う場合は逆バイアスがかかる直前の順方向電流が小さいため、逆回復時間より順方向電圧を優先することができます。
順方向電圧が小さいファストリカバリダイオードを選ぶことで、導通時の電力損失を小さくできるため電力変換効率を高めることができます。
![臨界電流モード](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/10/frd05.jpg)
電流連続モードの場合は順方向電流が大くなるため、逆回復時間が短いファストリカバリダイオードを選ぶ必要があります。
逆バイアス電圧と逆回復電流によって発生する電力損失を小さくし、電力変換効率の低下を防ぐのが目的です。
![電流連続モード](https://analogista.jp/wp-content/uploads/2021/10/frd06.jpg)
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