スイッチングダイオードの特徴と用途

スイッチングダイオード

スイッチングダイオードとは、スイッチング回路に使われるダイオードです。
ダイオードをオン・オフの切り替えで使うため、一般整流ダイオードより応答速度が速いのが特徴です。
一般的に使われるスイッチングダイオードとして、オンセミの1N4148が有名です。

ダイオードとは?仕組み、特性、用途について解説

整流ダイオードとの違い

整流ダイオードの用途では、ダイオードに流れる電流は連続的に変化し、逆方向には流さないといった使い方になります。
応答時間が遅いので、オン・オフの切り替えには向きません。

スイッチングダイオードは一般整流ダイオードより応答速度が速いため、スイッチングの用途で使われます。

スイッチングダイオード

スイッチングダイオードの使用例

スイッチングダイオードの代表的な使い方として、レベルシフト回路が挙げられます。

例えば、0V-12VのHi/Lo信号の入力があって、これをマイコンに入力したい場合を考えます。
そのまま12VのHiレベルをマイコンに入力できないので、Hiレベルを3.3Vに変換します。

スイッチングダイオードの使用例

入力が12Vの時はダイオードがオフしてマイコンへ3.3Vが出力されます。
入力が0Vの場合はダイオードがオンしてマイコンへVFの電圧が出力されます。

LTspiceのシミュレーション回路と動作波形を示します。

スイッチングダイオードシミュレーション回路 スイッチングダイオード動作波形

整流ダイオード、ショットキーダイオードとの違い

整流ダイオード、ファストリカバリダイオード、ショットキーダイオードとの特性の違いをまとめました。

名称 順方向電圧 耐圧 リーク電流 逆回復時間
整流ダイオード 0.6V~1.3V 400V~1000V 1μA~10μA
スイッチングダイオード 0.6V~1.3V 20V~200V 1nA~0.5μA ~10μs
ファストリカバリダイオード 0.8V~3V 100V~800V 1μA~10μA ~100ns
ショットキーダイオード 0.3V~1V 20V~100V ~1mA ※1

※1 キャリア蓄積による逆回復時間は存在しないため、データシートでは規定されていない。
寄生容量の充放電速度で応答性が決まるため、数ns程度での応答が可能。

各ダイオードの詳細は下記のページをご覧ください。

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