入力トレラント、出力トレラントとは
CMOSロジックICのトレラント機能は、電源電圧以上の電圧を入力、または出力に入力することができる機能。
トレラント機能には入力トレラントと出力トレラントがあり、それぞれ入力に電源電圧以上の電圧を入力できること、出力に電源電圧以上の電圧を入力できることを意味します。
本稿では、トレラント機能について詳しく解説していきます。
入力トレラント
CMOSロジックICの入力は、一般的には以下のような回路になっています。
入力端子には静電保護ダイオードが対GND、対電源にそれぞれ接続されています。
電源電圧より高い電圧が入力された場合、電流は静電保護ダイオードを通って電源側へ流れます。
この時、電源電圧を持ち上げてしまい誤動作を起こしたり、静電保護ダイオードに大きな電流が流れて破壊してしまうことがあります。
入力トレラント機能を持ったICの場合、対電源側の静電保護ダイオードが無いので、電源電圧より高い電圧を印加しても電源側へ電流が回り込むことがありません。
入力トレラント機能を持つバッファICを使えば、レベルシフト(電圧変換)を行うことができます。
出力トレラント
CMOSロジックICの出力は、一般的には以下のような回路になっています。
出力のCMOSのドレイン-ソース間には寄生ダイオードがあります。
出力電圧が異なる複数のロジックICがバスラインに接続されていた場合、出力電圧の高いIC側から低いIC側へ電流が回り込み、最悪破壊してしまいます。
出力トレラント機能を持つICは、PMOSの寄生ダイオードに電流が流れないような構造になっています。
こういったICを使えば、外部に電圧変換用のバッファがなくても直接電圧の異なるバスラインに接続できるようになります。
5Vトレラントとは
よく使われるキーワードとして「5Vトレラント」があります。
5Vトレラントは、電源電圧に依らず5Vまで入力できるトレラント機能を持ったICのことを指します。