CMOSレベルとは?TTLレベルとの違い

CMOSレベルとは、一般的なCMOSロジックICの入出力条件です。
TTLレベルと違い、電源電圧:VDDに依存します。

TTLレベルとは【代表的なICと回路図】

CMOSレベルの規格

CMOSレベルの一般的な規格は下記のようになります。

Hiレベル入力電圧 0.7×VDD
Loレベル入力電圧 0.2×VDD
Hiレベル出力電圧 VDD-0.8V
Loレベル出力電圧 0.4V

VDDはCMOSロジックICの電源電圧です。

最も基本的なCMOSのインバータ回路を考えます。

インバータ回路

VTはCMOSのオン閾値です。

入力がHi(出力がLo)を確定する電圧が「Hiレベル入力電圧」で、入力Lo(出力Hi)を確定する電圧が「Loレベル入力電圧」です。
その間の電圧では「不定」とされ、Hi判定されるかもしれないし、Lo判定されるかもしれない領域です。

出力電圧はCMOSのオン抵抗による電圧ドロップの最大値で決まっています。
Hiレベルの方が低下幅が大きいのは、同じサイズであればPMOSの方がオン抵抗が大きくなるためです。

TTLレベルとの違い

TTLレベルは、バイポーラトランジスタで構成されたロジックICの入出力規格値です。

CMOSレベルとの違いをまとめると以下のようになります。

項目 CMOSレベル TTLレベル
Hiレベル入力電圧 0.7×VDD以上 2.0V以上
Loレベル入力電圧 0.2×VDD以下 0.8V以下
Hiレベル出力電圧 VDD-0.8V以上 2.4V以上
Loレベル出力電圧 0.4V以下 0.4V以下

この記事のキーワード

関連記事
トランジスタの飽和領域とは?飽和する原理を解説

本稿では、トランジスタの飽和について解説していきます。 バイポーラトランジスタを飽和状態で使用する際に起こる問題点と対策方法を紹介します。 また、バイポーラトランジスタの飽和とMOSFETの飽和の違いについても説明します。 INDEXバイポーラトランジスタの飽和とはなぜ飽和するの…

レギュレータやFETスイッチの逆電圧保護の方法と注意点

レギュレータやFETスイッチなどに逆電圧が掛かると、逆流電流によってボディダイオードが破壊されてしまう場合があるため対策が必要です。 また、出力側から入力側への回り込みによるシステムの不具合が起こる可能性もあるため、逆流防止の必要もあります。 逆電圧が発生するシチュエーションとし…

TTLレベルとは【代表的なICと回路図】

TTLとは、Transistor Transistor Logicの略で、バイポーラトランジスタで構成されたロジックICのことです。 代表的なのはTI社の7400シリーズの汎用ロジックICです。 TTLレベルとは、TTLの入出力条件のことを指します。 INDEXTTLレベルの規格…

レベルシフト回路の必要性と動作原理

レベルシフト回路とは、クロックなどのデジタル信号のHiレベルを変換する回路です。 信号の出力側デバイスの電源電圧と受け側の電源電圧が異なる場合に、Hiレベルと電源電圧を合わせるために用いられます。 本稿では、レベルシフト回路の用途と回路例について解説していきます。 INDEXレベ…

eFuseとは?

eFuseとは、過電流を検知するとMOSFETをオフして負荷を切断する半導体スイッチICです。 ポリスイッチなどの通常のフューズと置き換えが可能です。 通常のヒューズが負荷切断までに時間がかかるのに対し、eFuseは検知が速く、すぐに切断動作を行えるため、安全性が高いというメリッ…