チャタリングとは?原因と対策方法について

チャタリングとは、主にリレー、スイッチがオンする際に機械的な振動によって短い周期のオン・オフを繰り返すことを言います。
電子回路でも発生し、バッファのHi-Loの切り替わり時に同様の振動を繰り返すことがあります。

本稿では、チャタリングの発生原因と対策、防止回路について解説していきます。

チャタリングが発生する原因

スイッチをオンにすると、接点でスイッチが跳ね返り、弾性振動により接点とくっついたり離れたりを繰り返します。
そのため、スイッチをオンしてからしばらくの間、負荷にHi-Loのパルス波形が印加されてしまいます。

チャタリング

電子回路のチャタリング

バッファの入力にノイズが乗っていて、しかも立ち上がり、立ち下がりが鈍った波形が入力されると、出力にチャタリングが発生します。
ノイズによってしきい値を複数回跨いでしまい、出力反転を繰り返してしまうためです。

バッファのチャタリング チャタリング波形

ヒステリシスの小さいコンパレータやトランジスタ受けのオープンドレイン回路などでも同様にチャタリングが発生します。

チャタリングの対策、防止

メカスイッチのチャタリングの防止は困難ですので、発生する前提での対策を考える必要があります。
電子回路のチャタリングは、発生を防止するように設計するのが基本です。

RCフィルタによる対策

もっとも簡単なのが、RCフィルタによるチャタリング波形の除去です。

チャタリング対策回路 チャタリング対策波形

ただし、デメリット2つあります。

  1. 出力波形が鈍る
  2. 出力ラインに抵抗が入るので、負荷のインピーダンスが低いと電圧降下が発生する

フリップフロップを使った対策

RSフリップフロップで、一回目のHiエッジを保持することで、その後のチャタリング信号を無視できます。
一般的なチャタリング防止回路を以下に示します。

RSフリップフロップによるチャタリング防止回路 RSフリップフロップのタイムチャート

フリップフロップの動作を解説

ソフトによる対策

マイコンで信号を処理する場合は、ソフト処理でフィルタします。
マイコンに入力された信号を一定間隔で読み取り、規定回数連続でHi判定してはじめてHiレベルが入力されたと判定します。
10us、8度読みフィルタなら、10us間隔で入力信号を読み取り、8回連続でHi判定するとHiレベルを確定させます。

チャタリングのソフト対策

チャタリングの発生を防止する

バッファなどによるチャタリングの発生を防止するには、以下のような対策が考えられます。

  • 入力信号を十分デジタル化する(S/Rを大きくする)
  • シュミットバッファで受ける
  • ヒステリシス幅が十分なコンパレータで受ける

この記事のキーワード

関連記事
電気回路におけるコイルの動作、役割

電気回路設計を学ぶ上でコイル(インダクタ)の動作は理解が難しいものの1つです。 本稿では、理論的な部分はあまり語らず、回路動作としてコイルがどのような働きをするかという部分に絞ってわかりやすく解説していきます。 INDEXコイルの特徴、特性電流・電圧特性方形波を印加した場合の挙動…

ウィンドウコンパレータとは?回路の動作原理と設計計算方法…

ウィンドウコンパレータとは、入力信号が一定の範囲内に入っていることを判定する用途で使われるコンパレータ回路です。 異なる2つの閾値を持ち、入力電圧が2つの閾値の間にあればHiを出力し、外側にあればLoを出力します。 この特性が窓のようになっているためウィンドウ(window)コン…

特性インピーダンスとは?導出・計算方法について解説

特性インピーダンスとは、伝送線路に交流信号が通った時に発生する電圧と電流の比です。 例えば、同軸ケーブルでは特性インピーダンスが50Ωですが、これは抵抗値が50Ωというわけではありません。 DCでのインピーダンスはほぼゼロですが、高周波を通した時には同軸ケーブル内に存在する静電容…

RCフィルタとLCフィルタの伝達関数を計算する方法

アナログ回路設計者にとって、伝達関数は取っ付きにくく苦手意識がある方も少なくないでしょう。 ここでは、よく使うRCフィルタ、LCフィルタに絞って伝達関数を分かりやすく解説していきたいと思います。 INDEXLCのインピーダンスRCフィルタの伝達関数LCフィルタの伝達関数 LCのイ…