インピーダンス整合(インピーダンスマッチング)のやり方
インピーダンス整合とは、入力側と出力側のインピーダンスを合わせることです。
インピーダンスマッチングとも呼ばれます。
低周波回路では、負荷に与える電力を最大化することが目的で、高周波回路では信号の反射によって生じるリンギング・ノイズを抑えることが目的です。
低周波回路のインピーダンス整合の考え方
ドライバ回路で負荷を駆動する場合を考えます。
ドライバ側の出力インピーダンスをRO、負荷のインピーダンスをRLとします。
低周波回路の場合リアクタンス部分は無視できるので、インピーダンスは単純に抵抗値と考えます。
負荷に与えられる電力は、
で計算できます。
VCC=5V、RO=50Ωとして、横軸をRL、縦軸に電力を取ったグラフを描くと以下のようになります。
RL=RO=50Ωで電力が最大になることが分かります。
つまり、低周波回路でインピーダンス整合の条件は、出力インピーダンスと負荷インピーダンスを一致させることになります。
高周波回路のインピーダンス整合の考え方
同軸ケーブルや伝送線路を通って出力された高周波信号には、反射によるリンギングノイズが重畳します。
反射とは、音が壁に当たって跳ね返ってくるように、電気信号が受け側の高いインピーダンスに跳ね返されて出力側に戻ってくることです。
反射が起こる原因
なぜ反射が起こるのかを説明するために、同軸ケーブルの等価回路を示します。
配線は小さな静電容量やインダクタンスを持ちます。
上図の等価回路のイメージで、配線全体に一様に分布しています。
反射は、これらのLC成分の共振によって引き起こされます。
反射を抑える方法
反射を抑えるには終端抵抗でLC共振のエネルギーを消費して減衰させる必要があります。
このとき、ケーブルの特性インピーダンスと終端抵抗:RLを一致させる(インピーダンス整合)と、反射がなくなり、かつ最も効率的に信号を伝えることができます。
特性インピーダンスは、伝送線路に交流信号が通った時に発生する電圧と電流の比です。
詳しくは下記の記事をご参照ください。
ケーブルの特性インピーダンスを50Ωとした場合のシミュレーション結果です。
RL=50Ωの時は反射が発生せず、信号の鈍りもありません。
50Ωより小さくすると、反射はありませんが信号が鈍り、電力損失も大きくなってしまいます。
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