ロードスイッチとは?用途や動作原理を解説

ロードスイッチとは、電源と負荷の間に挿入されるハイサイドスイッチで、負荷への電源の供給のオン/オフ切り替えを行う半導体スイッチです。
オン/オフ機能に加え、過電流保護、突入電流防止、逆流防止などの機能を搭載したロードスイッチICも複数のメーカーからリリースされています。

ロードスイッチ

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用途、使い方

ロードスイッチはCPUやDSPへの電源供給、モーターやソレノイドなどの負荷駆動にも使われます。
単純にMOSFETをオン/オフさせるだけの場合もありますが、実際の設計では複数の保護機能を搭載した「ロードスイッチIC」が用いられます。

ロードスイッチICの主な用途は次のようなものです。

  • 電源供給のオン/オフ切り替え
  • 負荷ショート検知、保護
  • 負荷のオープン検知
  • 暗電流低減のための負荷切断
  • シーケンス制御

ロードスイッチ回路の設計

ロードスイッチをディスクリート部品で組む場合、下図のような回路が用いられます。

ロードスイッチ回路

この回路を設計する際の注意点は2つあります。

1.VGS電圧に注意する

MOSFETのVGSの耐圧はVDSに比べ低いため、耐圧を超えないようにする必要があります。
ロードスイッチがオンする時、M1のVGS電圧は、

VGS = VIN × R1 / (R1 + R2)

となります。
VINが最大の時にでもVGSが耐圧を超えないようにR1、R2を設定する必要があります。

しかし、VINの変動が大きいシステムの場合、VIN最大時に合わせて設計すると、VIN最小時にオンできなくなってしまう場合があります。
その場合、VGS間にツェナーダイオードを挿入して、抵抗分割値はVIN最小時でもオンできるような設計にするという方法があります。

2.突入電流の防止

負荷側に大きな容量があると、ロードスイッチがオンした瞬間に大きな突入電流が発生してしまいます。
C1を追加してゲート電圧をゆっくり落とすことで、突入電流を抑えることができます。
C1の違いで突入電流がどう変わるのか、シミュレーションをしてみました。

C1=1000pF

ロードスイッチの突入電流

C1=0.1uF

ローづスイッチの突入電流

C1が大きいほど突入電流は抑えられますが、ON信号がHiになってから出力が立ち上がるまでの時間が長くなってしまうデメリットがあります。
シーケンス上問題がないか確認しておきましょう。

ロードスイッチICに搭載される機能

ロードスイッチICに統合されている機能には以下のようなものがあります。

ロードスイッチICを使う一番のメリットはフェールセーフ機能です。
負荷異常時にICが破壊しないようにするだけではなく、マイコンへ異常通知を行いスイッチをオフするなどシステムとしてのフェールセーフ性能を高めることができます。

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