RHPゼロ(右半面ゼロ)とは
RHPゼロは、20dB/decadeでゲインが上昇し、位相を90°遅らせます。
RHPはRight Half Planeの略で、右半面ゼロとも呼ばれます。
RHPゼロを複素平面で表すと、右側半面にプロットされます。
RHPゼロが発生する回路
RHPゼロが発生する代表的な回路として、
- 昇圧DCDCコンバータ
- ミラー補償を行ったLDO
が挙げられます。
昇圧DCDCコンバータ
出力電圧が上昇すると、フィードバック制御によりオンDUTYを下げて電圧を下げようとします。
オフサイクルが長くなり、コイル電流が減少することで電圧が安定します。
しかし、過渡的には、コイル電流はすぐには減少せず、オフサイクルが長くなるため、出力側へ転送される電荷量は増加し、出力電圧は上昇します。
つまり、高周波領域では正帰還になっていることになります。
これが昇圧DCDCコンバータでRHPゼロが発生する原理です。
同様に、SEPICでもRHPゼロが発生します。
ミラー補償を行ったLDO
LDO(シリーズレギュレータ)では、ミラー補償を使った位相補償が行われることがあります。
ミラー効果によりコンデンサ容量を見かけ上大きくし、低周波にポールを生成することができますが、高周波では入力から出力向きの電流経路ができてしまいます。
この経路を通るループは正帰還になってしまうので、RHPゼロが生成されます。
位相補償が困難に
RHPゼロはゲインが上昇し、位相が遅れるという特性上、位相補償を非常に困難にします。
基本的にはRHPゼロの1/10の周波数にクロスオーバー周波数を設定し、RHPゼロの影響を受ける前にゲインを0dB以下にしておく必要があります。
そのため、レギュレータの帯域が狭くなってしまい、応答性が悪くなるという問題が起こりやすくなります。
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