C級アンプの回路図と動作

C級アンプ

C級アンプとは、トランジスタを入力信号の半周期以下のサイクルで導通させる方式です。
そのため歪みが大きくなりますが、効率が良く、理論上の最大効率は90%に達します。
歪みが大きいためオーディオでは使われず、高周波回路で使用されます。

A級、B級、C級、D級アンプの違い

C級アンプの動作原理

C級アンプでは、入力電圧がトランジスタの導通-非導通領域を跨ぐような状態で使用します。

C級アンプの動作原理

そのため、入力波形の半分以上は出力に反映されず、また出力波形はパルス状で歪みの大きい波形となります。

C級アンプの回路図

C級アンプ回路図

入力のバイアス電圧は0.5Vで、上半分のサイクルのみトランジスタが導通します。
コレクタ側にはLC共振回路(同調回路)を持ち、出力されたパルス状の波形から不要な周波数成分を取り除き、サイン波だけを抽出します。

C級アンプの動作波形

前出の回路でシミュレーションを行なった結果です。

C級アンプの動作波形

コレクタ電流はパルス状になっていますが、出力はサイン波となっています。
このように同調回路によって出力がサイン波になっている動作モードを調整モードと呼びます。

下図のように同調回路が無かったり、適切な値に調整されていない場合は出力電圧がパルス状になります。
このモードを非調整モードと呼びます。

C級アンプ 非調整モード
C級アンプ非調整モード時の動作波形

この記事のキーワード

関連記事
B級プッシュプル増幅回路とAB級アンプの特徴と動作原理

B級増幅回路とは、入力信号の上半分と下半分を別々のトランジスタで増幅して出力する方式です。 A級増幅回路より効率は良くなりますが、歪みが大きくなるのがデメリットです。 AB級増幅回路とは、A級とB級の中間の動作をし、高効率で歪みのない増幅回路です。 本稿では、B級、AB級の回路と…

インバーテッドダーリントン接続の特徴と発振対策

インバーテッドダーリントン接続とは、NPNトランジスタとPNPトランジスタ組み合わせて構成した高hFEの増幅回路です。 NPN-PNP接続はNPNトランジスタと等価、PNP-NPN接続のものはPNPトランジスタと等価となります。 PNP-NPN接続のものは疑似PNPと呼ばれること…

オペアンプを使った加算回路の使用例と動作原理

加算回路とは、足し算(加算)の演算ができる回路です。 オペアンプを使った加算回路では、複数のアナログ信号の足し算ができます。 本稿では加算回路の動作原理や特徴・用途について解説していきます。 INDEX加算回路の回路図動作原理反転加算回路非反転加算回路使用例、応用例 加算回路の回…

バイポーラトランジスタの仕組みと原理

バイポーラトランジスタとは、半導体のPN接合を利用したトランジスタです。 コレクタ、エミッタ、ベースの3端子で構成され、ベース-エミッタ間に一定以上の電圧を印加することでオンさせる(コレクタ-エミッタ間を導通させる)ことができます。 また、ベースに流し込んだ電流を増幅する、電流増…

トランジスタの飽和領域とは?飽和する原理を解説

本稿では、トランジスタの飽和について解説していきます。 バイポーラトランジスタを飽和状態で使用する際に起こる問題点と対策方法を紹介します。 また、バイポーラトランジスタの飽和とMOSFETの飽和の違いについても説明します。 INDEXバイポーラトランジスタの飽和とはなぜ飽和するの…